体力の衰え
生前整理と聞くと特別な事に感じて身構えてしまうかもしれませんが、超シンプルに表現すると片付け、荷物整理になります。
お掃除のようなものですので力仕事でもあるのです。
ということはヤングな人ほど体力的にも充実しているので作業もスイスイできるのです。
残りの寿命が残り僅か、風前の灯となっていようがいまいがお部屋の中や隣の部屋はお掃除しなければ快適に生活できません。
ですが年配者は体力が衰えていますので、たくさんに荷物に囲まれていると充分に清掃を定期的に行えなくなっていくのです。
昔は毎日5キロ走っても、10キロの荷物を持ち上げても息を切らすこともなければ筋肉痛にもならなかったスポーツマンでも、
70歳にもなれば全力疾走したら心臓が停まりそうになるでしょう、それが老化というものです。
老いてきたら日常のお掃除すら大変な重労働となりますので、荷物が多かったり片付けなければならない品が家中にあるようだと、
大晦日にも満足に清掃することができずに悔しい思いをするでしょう。
それを考えれば生前整理で所有物を早い段階で減少させることは、自分の残りの人生を掃除以外のことに使うことができるメリットにも繋がります。
身体が思うように動かないから清潔な部屋を維持できない、
これはジワジワと苦痛を感じる精神攻撃のようなもので、生きる気力を削いでしまう危険なものなのです。
遺族のために
生前整理は自分のためでもありますが遺族のためでもあります。
もしも自分が急に倒れてそのまま息を引き取ってしまったら、残された遺族の方が全てを片付けなければならなくなります。
近隣に親類がお住まいならばまだしも、隣県にしかいなかったり国外に引っ越していたりしたらすぐには取り掛かれません。
作業開始しても1日や2日で終わる量ではないでしょうから、何回も足を運んで少しずつ処分する流れになるかと思われます。
仮に遺品整理をしてくださる遺族がフィリピンで生活をしていたのなら、毎週土曜に飛行機で日本へやってきて電車とバスを乗り継いで訪ねてもらい、
一泊して日曜日にはまたバスや電車、飛行機を使ってフィリピンへと飛び立つことになります。
所在地次第では公共機関が充実していなくてレンタカーを利用するかタクシーに乗らなければならないことも考えられますし、
時間だけでなく金銭的にも多きな負担をかけることになってしまうでしょう。このような遺族の負担を減らすためにも生前整理は威力を発揮します。
遺品が少なければこの手間も大幅にカットされますので、残された方の時間を無駄に消費させてしまうこともなくなります。
遺品を捨てるかどうするか選別するだけでも相当の時間がかかるでしょうし、そういった手間を省いておく、そんな意味もあるのです。
遺産の把握
遺品整理もなかなか大変だと聞きますが、遺産相続も同じように莫大なエネルギーを消耗する大変な作業になります。
どれだけの遺産があるのか、現金はわかりやすいかと思いますが有価証券や銀行への預金、
郵便局での定期預金なんかは全て把握するのにかなりの手間と時間を要しますので、実際に相続をするまでに疲れきってしまいます。
タンスの中に眠っている貴金属や宝石類もあるでしょうし、銀行の貸金庫に保管してある財宝もみつかるかもしれません。
遺産相続ではそうした財産を全て確認することからスタートしますので、生前整理でまえもって目録を作成しておくとスムーズにいくのです。
相続財産がどれだけあるのか、確定させるまでに何ヶ月もかかるケースもザラですし、ならばまだ生きているうちに一番詳しく知っている本人が
財産を分かりやすい形で示しておく、これも生前整理のいいところでしょう。
貴重品は盗難にあわないよう分かりにくい場所に隠しておくのが鉄則ですが、あまりやりすぎると遺族の方も発見できない可能性もあります。
大切な物なので庭に穴を掘って埋めておこう、屋根裏の隅に置いて布を被せておこう、そんな風に隠された財産は遺族の方も見つけられないのです。
そんな失敗をしないためにも、どれだけの財産がどこにあるのか整理しておくことは大きな意味がありますし、遺族もきっと感謝するでしょう。