生前整理の意味

生前に行います

遺品整理とは違って生前に実行するのが生前整理のポイントです。 物を捨てるのには勇気が要りますので、本人が生存している間に財産を含めて物を 処分していくことには誰もが抵抗を感じるでしょう。 ですがその気持ちをグッと我慢して、家族に遺してもあまり意味の無い物をどんどん 元気なうちに処分していくのです。 が、生前整理には他にも重要な役割があると考えることもできます。 まだ気力のあるうちに身の回りの様々なアイテムを片付けていくのですが、それらを 手にとって「そういえばあんなこともあったな、これを見て思い出したようふふ」と 自分の人生を振り返ることにもなるからです。 昔のアルバムをみつけてまだ若かった頃の自分の夢を思い出したり、旅行先で購入したお土産を久しぶりに目にして当時の若々しい肉体を懐かしんだりして、 今後の人生に意味を持たせることにもなるのです。 これは死後に行うことができませんし意味がありませんので、生前整理でしかでき ない素敵なことでしょう。 自分で全てを処分せずにご家族の手を借りて行われる場合もありますが、とにかく 本人が生きている間に行うのが生前整理の基本となります。 また専門の業者に依頼してお手伝いしてもらうケースもあります。

多すぎる荷物

長く生きていると本当に驚くほどたくさんの荷物が増えていきます。 頻繁にお引越しをされている方ならその都度不用品を見極めて処分されているかもしれませんが、 注文住宅を建てられたり建売住宅を購入されたのならもう引越しの機会もな くなりますし、どんどん荷物が増えていっても捨てる機会がなくなります。 冬が来るたびに毎年コートを買われたり、誕生日には毎年着物を新調されるような人が家族にいたら洋服タンスの中はパンパンになり、 追加でタンスを手に入れようとするに違いありません。 簡単に捨てられるものならその都度処分できますが、着物なんかだとそう易々と手放しにくいので住宅内に保管しようと考えるのです。 お洋服だけではなく家具類にも同じことがいえ、まだ使えそうだけれど、といった感じのテーブルやソファなんかは捨てずにしまっておくことが多くなります。 電気ストーブを買ったけど古い石油ストーブも一応残しておこう、エアコンを取り付けたけど電気ストーブを捨ててしまうのはもったいないな、と 年々もったいなくて捨てられずに保管される品は増えていくのです。 年を召されてそろそろ自分に残された時間も少なそうだな、と思う頃にはそうした品々が倉庫の中に大量に眠っていることに気がつくでしょう。 その処分を遺品として残された家族が行うのか遺品整理なのですが、最近ではまだ元気なうちに片付けていく生前整理が流行しているのです。

本人が行う

遺族の方が故人の荷物を処分する遺品整理は、とても辛いイベントです。元気だったあの頃の思い出と涙が溢れ出てきて、片付けが進みません。 残された大量の荷物をひとつひとつ手にとって「これはいらないな、捨てよう」「お、懐かしい。 失くしたと思って探すのをやめたのにこんなトコにあったのか」「少しは値打ちがありそうだし一応キープしておこう、まとめてリサイクルショップか 質屋に持っていけばそこそこの額になるかもしれないしね」と目頭を押さえながら遺品整理を進めていくのですが、 自分の物ではないしホイホイ処分することは躊躇われますので、そのペースは牛歩のごとしです。 処分方法について後から責任を問われることはそうありませんが、やはり故人とはいえ他人のアイテムを取捨選択するのは気がひけます。 それを回避するために本人が生前に荷物整理を行おう、というのが生前整理ですから、これは自分が先立ったあとに大変な仕事を残さない、遺族のためにもなります。 遺品整理とは時間もかかるものですし、場合によっては完了まで数年がかりです。 親類が処分すべき住宅や蔵の近くにいなかったら連休や週末に少しずつ進めていくことになるので、 とてもじゃありませんが1週間や2週間では全てを片付けることは不可能っぽいですし、業者さんに頼むしかなくなります。 そうしたことを考えるとやはり本人が達者なうちに不用品は処分して、 できるだけ身軽になってから他界するのがベストといえるでしょう。